観光を装って入国し、窃盗を行った後に盗品を換金して出国する。「窃盗ツーリズム」と呼ばれる犯罪手口が、越境犯罪の課題として取り上げられている。テレビ朝日は2026年10月6日の報道で、東京都立大学の星周一郎教授による解説を紹介した。捜査が進む前に犯人が国境を越えると、身柄の確保が難しくなるという。
新人記者ナルカ


「窃盗ツーリズム」が指す手口
| 入国時 | 観光目的を装って入国する |
|---|---|
| 滞在中 | 窃盗などを行い、盗品を換金する |
| 犯行後 | 別の国へ移動する |
| 捜査上の課題 | 身元の特定や身柄確保より先に出国するおそれがある |
同報道では、治安の良い国で店舗や住宅の警戒が比較的弱いことや、観光客の多い国で旅行者を装いやすいことなどが、狙われる側の条件として説明されている。これは専門家による手口の分析であり、旅行者の大多数が犯罪目的で入国していることを示すものではない。
「来日外国人」は観光客だけではない
警察庁の警察白書でいう「来日外国人」は、日本にいる外国人のうち、定着居住者、在日米軍関係者、在留資格不明者を除いた区分である。定着居住者には、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者が含まれる。観光目的の短期滞在者だけを数える区分ではない。
したがって、来日外国人の検挙件数が増えたという数字があっても、それだけで「観光を装った窃盗が同じ割合で増えた」とは言えない。個別の事件について、入国目的、在留資格、滞在期間、共犯者や換金先などを確かめる必要がある。
警察白書が示す2024年の共犯率
令和7年警察白書によると、2024年に検挙された来日外国人の刑法犯について、共犯事件が占める割合は41.1%だった。日本人は12.5%で、来日外国人は約3.3倍。万引きに限ると来日外国人は22.6%、日本人は3.4%で、約6.7倍とされる。
| 2024年の刑法犯の共犯率 | 来日外国人41.1%/日本人12.5% |
|---|---|
| 2024年の万引きの共犯率 | 来日外国人22.6%/日本人3.4% |
| 集計の対象 | 検挙された事件のうち共犯事件が占める割合 |
| 注意点 | 犯罪者の人口比や、観光客の犯行割合を示すものではない |
警察庁は、共犯事件を主たる被疑者の国籍・地域により分類して集計している。共犯率は組織性を考える資料になるが、それだけで窃盗ツーリズムの件数や外国人全体の犯罪率は分からない。
編集部まとめ:実行役と換金・移動の仕組みを追う
日本人の生活と財産を守るには、店や住宅への侵入を防ぐ対策に加え、盗品を受け取り、換金し、移動を支える経路の解明が必要である。編集部としては、国境を越える犯罪には、実行役の摘発だけでなく、関係国との情報共有と犯罪収益の追跡を進めるべきだと考える。
地域では、被害日時や商品の情報を早く警察へ伝え、複数店舗や近隣地域で似た被害が起きていないかを確認する仕組みが重要になる。個々の店舗や住民に防犯の負担を任せきりにせず、警察、自治体、事業者が具体的な手口に応じて対策を組むことが求められる。
その際、監視や警戒の対象は、不審な行為や確認された犯罪手口である。旅行者の国籍や外見だけを判断基準にすると、誤認につながり、実際の犯罪経路の把握を妨げる。統計の対象と個別事件を分けて読むことが、効果的な治安対策の出発点になる。
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